院長メッセージ

沖縄協同病院は、280床の急性期病院として2009年6月に豊見城市から那覇市へ新築移転し、那覇南部地域の中核病院として地域住民の健康維持を担ってきました。

2016年の国立がん研究センターの統計によると、日本人の2人に1人はがんに罹り、男性が4人に1人、女性が6人に1人はがんで命を落とす時代となりました。がんは早期発見・早期治療が必要でありますが、他の慢性疾患と同様、長期的なフォーローも患者様の予後をよくするために必要なことであると考えております。

現在当院では、腫瘍内科専門医の育成に力を入れており、診療では緩和ケアチームの関わりも重視し、臓器横断的にがんに対する診療体制の構築に力を入れています。また易感染状態となったがん患者様のあらゆる感染症に対して、感染症専門医による迅速な対応がなされております。

「院内がん登録」は2011年より開始しており、2016年の登録数は年間281件で、部位別では結腸43件、直腸28件、胃27件、乳房25件、肺22件、前立腺22件、子宮頸部20件、その他の順になっています。沖縄県院内がん登録集計報告書から見る当院の特徴として、沖縄県全体の登録数からみると2.7%とかなり少ない状況であり、ケースファインディングの精度を上げていく必要があると考えます。

医療圏別登録割合では南部保健医療圏が95.0%でほぼ全ての症例が自医療圏内であり、地域密着型の医療機関といえます。

年齢階級別登録割合では70歳以上が53.1%、男女別ではほぼ各50%と他病院と同程度です。来院経路別では「自主来院」が37.0%、「他院紹介」が33.8%、「健診」等が15.3%、「他疾患経過観察中」35.2%となっており、症例区分では「自施設診断・自施設治療」が75.4%と依然として高い傾向にあります。

前年との比較では「他院紹介」および「健診」の割合が増加し、課題であった地域医療機関との連携について改善がみられましたが、他施設と比較するとまだまだ低い状況です。

今後もより一層、地域医療機関との連携を深め、当院で完結できない検査や治療について御協力、御指導を頂きながら、がん患者様にとって満足度の高いがん医療の提供を行ってゆきたいと考えています。

この度、2016年院内がん登録集計報告書が発表されることにより、自院のがん治療の実態が明らかになること、また他病院の取組状況を把握できることで、地域医療機関との連携の更なる充実を図り、がん治療の質向上、地域のがん対策に大いに活用できると期待しております。

沖縄医療生活協同組合 沖縄協同病院
病院長 仲程 正哲

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