院長メッセージ

浦添総合病院は昭和56年4月に開院し、「信頼と人間性豊かな医療」、「地域住民のニーズを満たす医療」の理念のもと、地域における中核病院として救急医療やがん診療及び高度専門診療を中心に診療を行っています。

当院の特徴として、南部保健医療圏と中部保健医療圏の圏境に位置しているため、医療圏別登録数においては南部保健医療圏が57.3%、中部保健医療圏が34.1%となっており、隣接する宜野湾市(中部保健医療圏)からの患者さんも多く来院しています。その多くが他院からの紹介患者であり、地域医療支援病院としての役割を担っています。

当院の年間院内がん登録数は、2016年は640件となりました。直近3年間の推移ではほぼ横ばいといったところです。部位別では、大腸、乳房、肺、膵臓の順で登録数が多く、大腸がん、胃がんは腹腔鏡・内視鏡下手術が盛んに行われ、年々その数も増加しており、大腸がんの登録数については前年と比較し28%の増加となっています。

乳がんについては欧米化傾向から、若い女性の乳がんの羅患も年々増えているため、手術も毎年増加しています。また、当院はシリコンインプラントによる乳房再建術の実施が可能な施設として認定を受けており、乳腺専門医・形成外科専門医がチームを組み、安全に乳房再建が行える施設となっています。

肺がん治療は、従来の手術・放射線治療・化学療法に加えて、分子標的治療や免疫治療が重要になってきております。当院では、組織診断を積極的に行い、遺伝子診断に基づいた、患者さん個人に最も適した治療を提供しています。呼吸器外科手術は、がんの進行度や組織型を考慮し、予後が比較的良好な早期がんには呼吸機能温存を目指した区分切除、進行がんには気管支形成や血管形成を含めた拡大手術を行っております。また、一部の進行がんを除き、体への負担を軽減できる完全鏡視下手術を行っております。

また、当院は肝・胆・膵において、高度技能専門医修練施設として琉球大学医学部附属病院と共に認定されており、肝胆膵における高難易度手術を安全に実施できる施設であると同時に、高度技能医を育成するための教育にも力を注いでいます。近年、肝切除術や膵切除術に対する腹腔鏡下手術も行われるようになってきていますが、保険適用とするためには国が定めた施設基準を満たしている必要があり、当院は肝切除術(全ての術式)と膵体尾部切除術に関して認定されており、適応症例には腹腔鏡下手術を行っております。その他食道癌や甲状腺癌に対しても、ほとんどの症例で完全鏡視下手術を行い、体への侵襲を最小限にする努力をしております。

今後もさらに診療体制を強化し、地域において専門的ながん診療が受けられる病院として、地域におけるがん診療提供体制の充実に、より一層邁進して参りたいと考えております。

社会医療法人仁愛会 浦添総合病院
病院長 福本 泰三

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